ごめんね、マミーちゃん





マミー


自宅ミニシェルター内の
もも、たろう、なな、のママ。


はじめてマミーちゃんを見た時、
私はまだ全くの無知な状態でした。
実はつい3ヶ月前までは、
大の猫嫌いで、猫の事は何も知り
ませんでした。
マミーちゃんが交尾している姿をみても、何ら危機意識を持っていませんでした。




H7年、4匹の子猫が生まれました。
寒いのは可哀想なので、外で猫ハウスを作ってあげました。
しかし数日後、朝の出勤前に見ると、猫ハウスが何処にも無い。
心配になって探した所、猫ハウスはゴミ置き場のゴミの上にありました。
その時のゴミの量は、忘れもしない、人間の胸くらいの高さになっていました。

急いで駆け寄ると、猫ハウスの入り口が斜め下に向けられていて、中ではマミーちゃんは、
子猫たちがゴミの中に落ちない様、必死に両手で抱きかかえていました。
何時から、マミーちゃんはその態勢で、子猫たちを守っていたのでしょう?
もし、気が付かなかったら、ゴミ収集車の中に放り込まれていた・・・。
この時、はじめて恐怖を覚えました。
そして、その行為をした人間に、強い怒りを感じました。

もう外には置いておけない、迷う事は何も無い、すぐに室内に保護しました。

その後、動物病院の紹介で、子猫4匹共貰ってくれる一家が現れました。
純粋に喜びました。はじめて、猫を里子に出す事を経験する筈でした。
私は、その猫好き一家を信じ切っていました。
しかし、いざ貰って貰う段階になって、連れて行く直前に断られました。
他から子猫を貰ったんだそうです。私と電話で話をする一方で、他から貰ったのでした。
すっかり信用していた私は、他の里親候補を探していませんでした。
本当に、ショックでした。世間知らずだと悔いりました・・・。

マミーちゃんは、病気を持っていました。頭の真ん中に、穴が開いていて、そこから膿が
いつも出ていました。
近くの病院に連れて行き、色んな検査や治療をして貰い、手術すれば完治すると言われて
手術もしましたが、一向に治りません。
しかも、手術後に言われた事は、既に手遅れ、一生薬を飲み続けないと駄目、でした。
その時にはじめて、獣医への不信感が芽生えました。
マミーちゃんを、大学病院へ行く事にしました。

大学病院での診断は、傷口に膿が溜まっているだけ、何度か洗浄すれば治る、でした。

そう、私が無知で獣医の善意を信じた為に、実は完全に騙されていたのでした。

今にして思えば、本当に手術がなされたかどうかも、実は怪しく思えるのです。
動物病院は、沢山あります。
獣医さんも人間の医者同様、良い人も悪い人もいます。
信用出来る獣医さんが見つかるまで
病院を1つに決めない、治療法や料金などを確認する、自分でも知識を持つ・・・、
それらの事は、悪徳獣医に騙されない為には必要なのだと痛感しました。


マミーちゃんは、エイズでもありました。やはり今にして思えばですが、傷口の膿が原因で、
もしかしたら、本当のエイズじゃなかったのかも知れません・・・。

子猫たちと引き離さないといけない避妊手術後に、私は心を鬼にして、マミーちゃんを家から
出しました。
子猫たちの元へ行こうと、マミーちゃんは窓に上ったりするなど、必死に抵抗し鳴きました。
それが何日も何日も続きました。
でも、私はそれでも、子猫たちと会わせませんでした。


マミーちゃんは、どんなに心を痛めたのだろう。どんなに悲しかったのだろう。
信頼していた私を、どんなに恨んだんだろう。
ひどい。私は余りに残酷な事を、マミちゃんにしていました。
今なら・・・、幾らでも方法が考えられる。でも、その時の私は、余りに無知でした。

保護ケージがある事も、思い浮かびませんでした。


マミーちゃんがいなくなったのは、その後でした。

いつもいる場所から少し離れる様になったマミーちゃんを、雨の中、私は傘をさして、
何度も迎えに行きました。
その度に、マミーちゃんは傘の下に入って、一緒に戻ってくれました。
もしかしたら・・・、子供たちと会える事を、期待していたのかも知れません。

でも私は、何度もマミーちゃんを裏切り続けるだけでした・・・。
2日後、マミーちゃんの姿が無くなりました。
避妊手術後だから、体は大丈夫なのだろうか?
雨の中、ご飯が食べられてるのだろうか?

無事に元気で、何処かで生きてるんだろうか?

マミーちゃんを外に出すべきではなかった・・・。
子猫たちと引き離すべきではなかった・・・。
今、私には後悔ばかりが残っています。
死んでしまったと、思いたくありません。
もう1度、マミーちゃんに会いたい。